時間みぢかしリハせよ人類! by犬神明

搬入

主催者から指定された時間(入り時間)にライブ会場に到着したら、まず会場中の人に「おはようございます!○○です!今日はよろしくお願いします!」と挨拶するんだ。まず、ここで相手よりも先に挨拶できなかったら負けだ。まず礼儀で勝つんだ!
さて会場に持ち込む荷物は「楽器や機材」「物販用グッズ」「メイク道具&衣装」の3種だ。「楽器や機材」はステージ、「物販用グッズ」は客席、「メイク道具&衣装」は楽屋へ、と行き先が違うので分別してから運ぶといいんだ。会場によっては楽屋が遠く離れてる場合や物販スペースが会場の外だったりすることもあるからね。

提出書類

搬入が終わったら、ライブハウスの提出書類に必要事項を書き込もう。
「メンバー&スタッフ名簿」「セット図」「PAオーダーシート」「照明オーダーシート」「チケット取り置き名簿」「ゲストパス名簿」だ。ライブハウスによっては「メンバー&スタッフ名簿」と「セット図」が1枚にまとめてあったり、「PAオーダーシート」と「照明オーダーシート」が兼用だったりするけど、内容はどこも同じだ。これらの書類はリハーサルが始まる前に提出しなければいけないんだけど、搬入からリハーサルまでの短い時間に書き込むのはせわしない。はっきりいって面倒くさい。そんな場合は前もって同内容のデータを作成してライブハウスに送っておくといいだろう。

『メンバー&スタッフ名簿』
ここに書き込んだ人数分のパスが発行される。メンバーやスタッフに変な名前をつけてウケを狙わなくてもいい。そういうのはなくていい。

『セット図』
使用するマイクの数、持ち込み機材、各パートの立ち位置、ドラムセットのタムの数は必ず明記しよう!

『PAオーダーシート』
コーラスや掛け声がある曲には「コーラスあり」、エコーをかけて欲しいところは「この部分にエコーお願いします」と書いておくといい。たいがいそんなもん。

『照明オーダーシート』
曲ごとの照明の色調や効果などの希望を書き込むんだ。でもね、スモークマシーンやミラーボールの使用は有料の場合もあるから、希望する場合はそこを確認してからにしよう。

『チケット取り置き名簿』
メンバーが受けた予約者の名前をここに書く。すると予約者は「受付預けチケット」と引換えに前売り料金で入場できるというわけだ。

『ゲストパス名簿』
ゲストとして無料で招待したい人の名前をこの用紙に書くんだ。だがしかし誰でも何人でも招待していいってわけじゃない。ゲストパスっていうのは基本的に「バンドに仕事として関わってる人」に発行されるものなんだ。だから名前の他に「レコード会社社員」「CDショップ店員」「雑誌編集者」「イベンター」「バンドマン」とかの職種を書き込む欄がある。つまりゲストとして招待する理由がないといけないんだな。「友達だけどお金がないから…」というのは理由にならないぜ。

サウンドチェック

ステージに機材をセッティングしたら、まずサウンドチェックから始めるんだ。セッティングが終わりそうな頃合いを見計らってPAさんが「では、そろそろサウンドチェックしてもよろしいでしょうか?」と声をかけてくれる。準備オッケーならば「よろしくお願いします!」でスタートだ。トラブルがない限りドラム→ベース→ギター→ボーカルの順にサウンドチェックしていく。他のパートがチェックしてるときは自分の音を出さないようにするのがマナーだ。ここはサクサク進めたいね。

『ドラムのサウンドチェック』
まずPAさんが「では、ドラムさんキックからお願いします~」とくる。キックっていうのはバスドラムのことだ。ゆっくりとバスドラムを…ドン!…ドン!…ドン!と踏めばいい。だいたい1秒に1回くらいの速さならPAさんも音の調節がしやすいだろう。このとき音の余韻も調整してるので高速連打されると困るんだよ。つづいてスネア、ハイハット、タム、シンバルとチェックしていくんだけど、これらもゆっくり音を出そう。
ドラムの各パーツの音が決まったら、PAさんは「では全体でお願いします!」と言うだろう。そしたらリズムとオカズを叩くんだ。PAさんが「はい。もういいです!」というまで叩き続けるんだ。叩け!叩け!叩け!各パーツを満遍なく叩くんだ!

『ベースのサウンドチェック』
「続いてベースさんお願いします~」ときたら、ボンボンボンボン…という具合にベースを弾くんだ。しばらくやってるとPAさんが「はい、オッケーです。他に音色はありますか?」と必ず聞いてくる。もし本番中にエフェクターなどで音色を変える場面があるなら、その音色もチェックするんだ。それが無ければ「特にありませーん」でよし!これでベース準備OKだ!

『ギターのサウンドチェック』
「ではギターさんお願いします~」ときたら、ジャンジャンジャーン…とギターを弾くんだ。しばらくやってるとPAさんが「はい、オッケーです。他に音色はありますか?」と必ず聞いてくる。オーバードライヴ、ワウワウ、ディレイ、コーラス、クリーン…本番中に使う音色は全部チェックしよう。ここでPAさんが気にするのが音量差だ。バッキングの音色からギターソロ用の音色に切り替えたとき、極端に音量が上がり過ぎるとライブハウスのスピーカーが飛んでしまうことがあるんだ。こうなったら大変だー!もし弁償になったら、もの凄い額の請求が来るぞ!気をつけよう。

『ボーカルのサウンドチェック』
ドラム、ベース、ギターのサウンドチェックが終って、いよいよボーカルのサウンドチェックだぜー!とやる気まんまんで意気込んでいると、PAさんが「ボーカルさんの声は演奏の中でチェックしますので、曲をやってください~」と肩すかしを食らうこともあるので要注意!どぼーん!
でもまあ、たいがい「ボーカルさんお願いします~」とくるので、「ワン、ツー、チェック、ハー!」とこなれた調子でやるといい。慣れてなくても、いかにもベテランな顔して余裕をかまして「ワン、ツー、チェック、ハー!」だ。これで対バンは間違いなくビビるだろう。それでいい。ここで素人臭さを出したら負けなんだ!なりきるんだ!

リハーサル

サウンドチェックが済んだら、こんどは実際に曲を演奏をしてみるわけだが、まず本番で演奏する曲の中から一番「やりなれてる曲」をやるのがいいだろう。時間も限られているので、とりあえずワンコーラスやってみて様子を見る。

『モニターチェック』
ここでモニターチェックだ。モニタースピーカーから各メンバーの音は聴こえるか?逆に大き過ぎるパートはないか?演奏しやすいか?これらに不具合があったらPAさんに調整してもらおう。それを繰り返しながら「コーラスのある曲」や「激しい曲」「バラード曲」も試してみるといい。このときステージから会場に降りて外音(そとおと)をチェックするバンドマンがいるんだけど、あれは無駄だね。お客さんの入っている状態と入っていない状態では反響がまるで変ってしまうもの。リハーサル時のガラガラな状態での外音に注文をつけても、それが本番で有効とは限らないんだよ。外音はその会場のPAさんに任せてしまった方が間違いはない。

『登場SEのチェック』
リハーサルの最後にチェックするのが「登場SE」から1曲目のイントロまでの流れだ。登場SEが収録されているCD-Rがライブハウスのプレイヤーで再生出来るかどうか、ここで確認しておかないと大変なことになる。もしここで不具合があればCD-Rを予備のものと取り替える。だから登場SEはいつも2枚用意しておくんだよ。犬神サアカス團は過去に登場SEが途中で止まってしまったり、音とびしてしまったことがある。あのときはテンション下がったぜ!

楽屋

リハーサル終了から本番までの時間は楽屋で過ごすもの。衣装に着替えたり、メイクをしたり、本番の進行を確認したり、対バンさんと談笑したり、弁当を食べたり…。1日の大半を楽屋で過ごすんだ。

『楽屋がない小屋&楽屋がせまい小屋』

ライブハウスによっては楽屋がなかったり、せまかったり、洗面台がなかったり、メイクを施すバンドには不向きな小屋もある。事務所を楽屋として貸してくれる小屋もあるが、そんな場合はライブハウス近隣のレンタルスペースやカラオケルームを借りるのがオススメだ。

『ゆずり合いの精神』

イベントなど出演者が多い楽屋では自分の居場所を確保するのも大変なんだ。「ここ空いてますか?」とか「すいません、隣いいですか?」とか、ちょっとしたコミュニケーション能力がないとね。やっと居場所を確保したとしても、自分よりも先に出演するバンドがメイク出来ずに困っていたら、サラっと席を譲ってあげよう。カッコいいバンドは、こういうところもカッコいいもんだぜ。

『楽屋マナーは大事』

大御所であろうと素人であろうと、楽屋をこんな使い方するバンドマンは嫌われるので注意しよう!
・ステージまでの通り道を荷物で塞ぐ
・椅子の上に荷物を置いたまま出かけちゃう
・テーブルに飲み残しのドリンクを置いたまま出かけちゃう
・練習を始める
・音楽を流す
・レベルの低いネタを披露しては笑いを強要する
・楽屋の鏡にステッカーをベタベタ貼る
・友達や恋人や家族親戚を楽屋に呼び入れる(ワンマンならOK)
・終演後、ゴミを片付けずに帰る

最終チェック

さあ本番に向けてメイクも完成!マイクや楽器のスタンバイもオッケー!あと何が必要かな?

『本番用セットリスト』
練習して憶えたつもりでもステージの上ではぶっ飛んでしまうことがある。演奏する曲と順番、MCの位置は書いておく。

『ステージドリンク』
本番の照明は予想以上に熱いものだ。だからドリンクを用意しておくといい。フタのついた500mペットボトルが定番だ。用意するときはステージで落としても転がらない「四角いボトルであること」、他人のドリンクと混同しないように「フタに名前を書いておくこと」を心掛けるといい。ラベルを剥がすのは宣伝になってしまうからという理由だけでなく、例えば和風コンセプトのバンドなのに「Volvic」なんて文字が見えると現実感が出てしまって世界観が崩れちゃうからなんだ。「いろはす」ならいいかというと、そういうものでもない。

『気合い入れ』
昔はどのバンドも必ず本番直前に円陣組んで「気合い入れっぞ!」「オー!」とやっていた(最近は減ったけど)。この「気合い入れ」をやった上で一度でもライブが成功しちゃうと、ジンクスを期待して毎回やらないと不安になるものなんだよね。まあ、本来こんなオマジナイに科学的根拠はないんだけどね。まあせいぜい交感神経を刺激するくらいのものだ。だから無理にやらなくていいし、やり忘れても何の問題もない。
では本番よろしく!